ウッドを用いたMODにメンテナンスは必須。
定期的なメンテナンスはMODの美しさと使い心地を保つだけでなく、大切なMODをクラックから守ってくれます。
今回は特にスタビライズドウッドのメンテナンスについて、「クラックを防ぐ」ことに重きを置いてその方法をまとめてみました。
スタビライズドウッドとは
スタビライズドウッドとは木材に樹脂と染料を浸透させ、強化&安定化(Stabilized)したもの。
湿気や乾燥の影響を受けにくく、ギター等のボディに広く使用されています。
木材の木目や節によっては樹脂が完全に浸透していないこともあるため、そこからクラックが発生することも。
デイリーメンテナンス
日々のお手入れは楽器用ポリシングクロスのような柔らかい布で空拭きするか、水で濡らして固く絞った布で優しく拭く、これで十分。
1か月に1回程度は保湿と表面保護のためにワックスなどでコーティングをしてあげましょう。
傷が目立ってきたら・表面の光沢が失われたら
特に傷が目立ってきたりMODの光沢が失われてきたら、4000番から12000番のマイクロメッシュでMOD表面を研磨し、コーティングを施します。
研磨=削るという事ですのでやりすぎ厳禁、個人的にはあまりやりたく無い工程です。
何を使ってコーティングするか?
ここからが今回の本題。
ベイパーさんによってコーティング方法は千差万別、しかしどなたも「保湿と保護」を念頭にメンテナンスされているようです。
【保湿によく使われる物】
・オレンジオイル
・レモンオイル
・ベビーオイル
・天然素材由来のオイル(非シトラス系)
・ウッドコンディショナー
ここで注意すべきなのがシトラス系オイル。
レモンオイルは揮発性が高く保湿には不向き、オレンジオイルは揮発性こそ高くないものの両者とも使用するとスタビライズドウッドから染料が抜け、クラックを引き起こす可能性があります。
とあるショップのオーナーさんに伺ったところ、MODDERさんによってはこのようなシトラス系オイルは使用すべきではないと言われているようです。
また、実際にレモンオイルの使用でクラックが入った方もいらっしゃいます。
【コーティングによく使われる物】
・ルネサンスワックス
・蜜蝋(ビーズワックス)
・天然カルナバワックス
・オイル配合ワックス
中でもルネサンスワックスは大英博物館でも使用されているという鳴り物入り。
塗布すると強力な保護被膜を形成し、MODをダメージから守ってくれます。
また、ラナパー等の革製品を保護するためのワックスを使われる方や、蜜蝋と天然素材のオイルをブレンドして作ったオリジナルワックスを使われる方もいらっしゃるようです。
筆者が選んだ保湿・コーティング
使いやすさと手軽さ、何よりMODに対して優しいかどうかという観点から筆者が選んだのはこちら。
尾山製材株式会社 木工用みつろうクリーム
木工用みつろうクリームは天然由来の木工用メンテナンスクリーム。
天然の蜜蝋に菜種油、椿油、ヒバ油、亜麻仁油の4種のオイルがブレンドされています。
オイルによって保湿し、蜜蝋によって表面をコーティングできるというまさに一石二鳥なクリーム。
使い方は簡単。
適量を柔らかい布で薄く延ばして30分放置、乾いたら空拭きするだけ。
重ね塗りもできます。
塗布前
塗布後
見た目の変化はあまり感じられませんね。
しかし手触りがツルツルになり、ちゃんと「保護されている」感じです。
以前はHOWARD社のオレンジオイルとFeed-N-Waxを使用していましたが、塗布工程時にスタビの染料が布移りするのが気になってみつろうクリームに乗り換えました。
メンテナンス頻度は少なくても多くても良くありません。
ちょうど良いタイミングを見計らって最適なケアを施してあげることで、MODを美しく保つことができると思います。
ここに書いた方法はあくまで一例ですので、自分に合ったメンテナンス方法でMODをいたわってあげましょう。